2020/06/13 21:58 更新
【管理会計入門】固定費と変動費
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目次

前提知識

一次関数

はじめに

投資判断を行う際に、費用を考えることは欠かせません。
費用には大きく分けて、固定費と変動費があります。固定費とは、生産量に拘らずかかる費用(賃借料、減価償却費、社員の基本給など)であり、変動費とは、生産量に応じてかかる費用(原材料費、販売手数料、残業手当など)のことです。
赤字を出さないためには、売上が費用より大きい必要があります。赤字を出す投資を行ってはいけません。(厳密には、金利以上の黒字が出ない投資を行ってはいけません。)
ここでは、赤字を出さない投資の条件を一次方程式によって、導きます。

損益分岐点の計算

売上を$x$、固定費を$b$、変動費を$ax$とすると、費用$y$は、

$$y=ax+b$$

で計算することができます。ただし、変動費は売上に比例すると仮定しています。(現実には完璧に比例することは稀であると思います。)
例えば、$a=0.5, b=4$として、売上高と費用をプロットするとこのようになります。

利益(=売上-費用)は、

$$x-y=(1-a)x-b$$

です。 利益が黒字になるための必要十分条件は、

$$x-y\gt 0 \iff x\gt \dfrac{b}{1-a}$$

です。売上が$\dfrac{b}{1-a}$を超えたら、黒字が出るため、これを損益分岐点売上と呼びます。
先程の例だと、$x=8$です。グラフを見ると、$x=8$で直線が交わっていることが確認できます。

限界利益

次に、限界利益というものを考えます。これは、見方を変えただけで、考えている式は同じです。
売上-変動費、つまり$(1-a)x$のことを、限界利益と呼びます。なぜ、こんな物を考えるかというと、利益が黒字になるための必要十分条件は、

$$x-y\gt 0 \iff (1-a)x\gt b$$

であるからです。つまり、限界利益が固定費を吸収できるか否かが黒字を出すための必要十分条件になっているのです。

結論

損益分岐点売上を見込めない(= 限界利益が固定費を吸収することを見込めない)投資は避けましょう。