2020/04/23 09:37 更新
72の法則の証明
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目次

前提知識

対数関数

本題

ファイナンシャルプランナーと資産運用の話をしていると、72の法則がよく出てくる。72の法則とは、元本$x$が利率$r$%のもとで、$n$年後に2倍になるとすると、$n \approx\dfrac{72}{r}$で表されるというものだ。
対数関数の良い例題だと思ったので、計算してみた。

$$2x=x(1+\frac{r}{100})^n$$

である。これを$n$について解き、$\ln(1+x) \approx x$を用いると、

$$\ln2=n\ln(1+\frac{r}{100})\approx \frac{nr}{100}$$

よって、

$$n=\frac{100\ln2}{r}=\frac{69.314...}{r}\approx\frac{69}{r}$$

であることが分かる。しかしこれでは、69の法則ではないか!
実は、非常に人間的な都合で72が採用されている。実際に計算してみると分かる。
69の法則を計算すると、

利率(%) 2倍になるまでの時間(年)
1 69
2 34.5
3 23
4 17.25
5 13.8
6 11.5
7 9.85
8 8.625...

一方、72の法則を実際に計算してみると、、

利率(%) 2倍になるまでの時間(年)
1 72
2 36
3 24
4 18
5 14.4
6 12
7 10.28...
8 9

ということで、実は、72のほうが割り算しやすいという勝手な理由で69を72で近似しているのだ。よって、72の法則は正しい計算(69の法則)よりも、すこし時間を長く見積もる計算手法なのである。