目次
前提知識
対数関数
本題
ファイナンシャルプランナーと資産運用の話をしていると、72の法則がよく出てくる。72の法則とは、元本$x$が利率$r$%のもとで、$n$年後に2倍になるとすると、$n \approx\dfrac{72}{r}$で表されるというものだ。
対数関数の良い例題だと思ったので、計算してみた。
である。これを$n$について解き、$\ln(1+x) \approx x$を用いると、
$$\ln2=n\ln(1+\frac{r}{100})\approx \frac{nr}{100}$$よって、
$$n=\frac{100\ln2}{r}=\frac{69.314...}{r}\approx\frac{69}{r}$$であることが分かる。しかしこれでは、69の法則ではないか!
実は、非常に人間的な都合で72が採用されている。実際に計算してみると分かる。
69の法則を計算すると、
利率(%) | 2倍になるまでの時間(年) |
---|---|
1 | 69 |
2 | 34.5 |
3 | 23 |
4 | 17.25 |
5 | 13.8 |
6 | 11.5 |
7 | 9.85 |
8 | 8.625... |
一方、72の法則を実際に計算してみると、、
利率(%) | 2倍になるまでの時間(年) |
---|---|
1 | 72 |
2 | 36 |
3 | 24 |
4 | 18 |
5 | 14.4 |
6 | 12 |
7 | 10.28... |
8 | 9 |
ということで、実は、72のほうが割り算しやすいという勝手な理由で69を72で近似しているのだ。よって、72の法則は正しい計算(69の法則)よりも、すこし時間を長く見積もる計算手法なのである。