2020/11/28 23:11 更新
常用対数はいつどこで常用されているのか
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目次

高校を卒業した人は、誰しもが一度は常用対数という言葉を聞いたことがあると思います。
しかし、これが本当に常用なのか、いつ常用してるのかというところまで、話を聞けた方はごく少数なのではないでしょうか。
というわけで、今日は、常用対数の常用具合を3つの例にそって、紹介しようと思います。

星☆

一等星、二等星という言葉を聞いたことがあると思います。星の明るさを示す指標です。実はこれには1.5等星というものもあり、まとめて、常用対数で定義されています。

$m$等星の定義

基準光度$l_0$に対して、光度$l_1$の星の等級$m$は次式で定義される。

$$m=-2.5\log_{10}\frac{l_1}{l_0}$$

したがって、光度が100倍になると、等級は5下がることになります。

$\because )$

$$m'=-2.5\log_{10}\frac{100l_1}{l_0}=-2.5\left(\log_{10}\frac{l_1}{l_0}+\log_{10}10^2\right) =-2.5\left(\log_{10}\frac{l_1}{l_0}+2\right)=m-5$$

地震

自信ではありません、地震です。テレビやネットでマグニチュードという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
実はこのマグニチュードというのは、常用対数を使用して定義されています。

マグニチュードの定義

地震が発生するエネルギーを$E$に対して、マグニチュード$M$は次式で定義される。

$$M=\frac{1}{1.5}\left( \log_{10}E-4.8\right)$$

したがって、エネルギーが$10^{1.5}\approx 31.6$倍になると、マグニチュードが$1$大きくなります。エネルギーが$10^{3}= 1000$倍になると、マグニチュードが$2$大きくなります。

音の大きさ

デシベル(dB)という単位を聞いたことがありますか?
もし無かったら、適当な家電の説明書を見てください。音の大きさを表すのにデシベルという単位がよく用いられます。実はこれは、常用対数を使って定義されています。

音圧レベル(dB)の定義

基準音圧$p_0=20\,\mathrm{[\mu Pa]}$に対して、音圧$p$の音圧レベル$L_p$は次式で定義されます。

$$L_p=20\log_{10}\frac{p}{p_0}$$

したがって、音圧が$10^{0.1}\approx1.23$倍になると、音圧レベルが2倍になります。

コメント
2025/11/26 23:28

ここに書かれている「音圧レベル(dB)の定義」が色々間違っているので指摘しておきます。正しくはこうです。

$L_{p} = 10\log_{10}(\frac{p} {p0} )$

係数の「10」はベル「B」からデシベル「dB」に単位を変えることに対応しただけですので「10」が正解です。基準音圧20μPaの「20」を係数として当てはめるのは間違いです。

次に $10^{0.1}$ つまり10の0.1乗の近似値は、1.23ではなく1.2589ほどです。音圧レベルの定義式自体の間違いを訂正するのも加味して、同じ文脈で正しい文章にするとこうなります。

『音圧Aを$10^{0.1}$倍≒1.2589倍した音圧Bは、音圧レベル(dB)で表現すると、音圧Aのデシベル値に1dB加えた値になります』

例えば音圧Aが15dBだったなら、音圧Bは16dBとなる訳ですね。ちなみに2倍なら約3dB増えます。10倍なら10dB増えます。