目次
前提知識
確率論の基礎、条件付き確率
本題
昔話題になったらしい、モンティ・ホール問題。条件付き確率の計算練習に丁度よいので、計算してみた。
問題設定
3つの箱のうち1つに1億円が入っている。まず、プレーヤーは、そこから1つの箱を選ぶ。
次に司会者が、余った2つの箱のうちの何も入っていない箱を開ける。
ここでプレーヤーは、箱を選び直す事ができる。最初に選んだ箱を信じるのか、余った1つの箱を選ぶのか、どちらを選んだ方が1億円を手にする確率が高いか?
解答
3つの箱を1~3として、1に1億が入っているとする。最初に選ぶ箱を確率変数として、$X$とする。最終的に1を選ぶ事象を$S$と書くことにする。
1. 最初に選んだ箱を信じる場合
最初に選ぶ箱について場合分けして、最終的に1を選ぶ確率を計算すれば良い。よって、
$$\begin{aligned} P(S)&=P(S\land( X=1\lor X=2\lor X=3))\\ &=P(S\land X=1)+P(S\land X=2)+P(S\land X=3)\\ &=P(X=1)P(S|X=1)+P(X=2)P(S|X=2) \\ &\qquad+P(X=3)P(S|X=3) \end{aligned}$$である。プレーヤーはどれが、1であるかが分からないため、$P(X=1)=P(X=3)=P(X=3)=1/3$である。
次に、条件付き確率を考える。この戦略では、最初に1を選んだときのみ、確実に1億円を手に入れる。したがって、$P(S|X=1)=1,P(S|X=2)=0,P(S|X=3)=0$である。よって、
である。
2. 余った1つの箱を選ぶ場合
先程の戦略と同じように、
$$P(S)=P(X=1)P(S|X=1)+P(X=2)P(S|X=2)+P(X=3)P(S|X=3)$$であり、プレーヤーはどれが、1であるかが分からないため、$P(X=1)=P(X=3)=P(X=3)=1/3$である。
次に、条件付き確率を考える。この戦略では、最初に1を選んだ場合は、1億円を手に入れられず、最初に2か3を選んだ場合は、確実に1億円を手に入れられる。したがって、$P(S|X=1)=0,P(S|X=2)=1,P(S|X=3)=1$である。よって、
である。
これにより、超人的な力を持たない限り、余った1つの箱を選ぶ戦略のほうが、1億円を手に入れる確率が高い事がわかった。