2020/11/03 17:24 更新
複素数の複素数乗
目次

今回は,複素数の複素数乗を定義する。
――$i^i$は実数か。
有名な数学の話題の1つとしてあげられる問いである。
この問題を解くには,オイラーの公式を利用した極形式を用いて$i$を表し,指数法則を用いて計算することで求められる。しかし,解答は2パターンに分かれる。それはなぜか。複素数は複素数平面の1点で表せる。複素数平面で複素数を極形式で考えるときに気がかりとなるのが偏角。偏角は弧度法を用いてラジアンで表されるが,1周$=2\pi$であるから自由度として$2n\pi$が生じる。例えば,$60^{\circ}$と$420^{\circ}=60^{\circ}+360^{\circ}$が等しい角度であるということである。このような自由度が生じる関数を多価関数といい,対数関数などがそれにあたる。そこで,偏角を一般的に表す場合もあるが,多くの場合,偏角を$0\leqq \theta <2\pi$あるいは$-\pi\leqq \theta \pi$の範囲で扱う。そうすることで,次の複素数の複素数乗を定義できる。

―複素数の累乗―
複素数$z(\neq 0)$について,$|z|=r$,$\arg z=\theta$とし,次の式を定義する。

$$z^s=r^se^{s\theta i}$$

$z^s$は偏角を一般角の範囲で考えたとき,多価関数となる。

複素数における累乗を定義できた。では,ここからは対数を考えてみよう。
複素数の極形式$z=re^{i\theta}$から対数をとると

$$\log z=\log (re^{i\theta})=\log r+\log (e^{i\theta})=\log r+i\theta$$

先ほども述べたが,対数は偏角を一般角の範囲で考えると多価関数となる。

―複素数の対数―
$z(\neq 0)=re^{i\theta}$である複素数とし,$\log z$を以下のように定義する。

$$\log z=\log r+i\theta$$

$\log z$は偏角を一般角の範囲で考えたとき,多価関数となる。

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