2020/10/21 18:13 更新
正規化群がそれ以上正規化できない話
目次
前提知識
群論の基礎
単に$H<G$などと表記した場合は、$G,H$は群で、$H$は$G$の部分群であることを表しています。
本論:正規化群の性質
前回の投稿で示した補題を取り上げています。
群$G$の部分群$H$に対して、$H$の正規化群$N_{G}(H)$というのは、$H$を正規部分群とする$G$の最大の部分群です。
前回の投稿の補題で示しましたが、正規化群$N_{G}(H)$の正規化群は実は$N_{G}(H)$と一致することが言えます。また、正規化は共役も保存します。
これは一般の群について成り立つ命題になっています。前回と繰り返しになってしまいますが、改めて主張と証明を載せます。
$\underline{Prop1.}$ $H<G$と$g\in{G}$に対して、
$$N_{G}(gHg^{-1})=g\,(N_{G}(H))\,g^{-1}$$proof.
$L:=gHg^{-1},N:=N_{G}(H), M:=N_{G}(L)$とすると、
$$\forall{n}\in{N}[(gng^{-1})L(gng^{-1})^{-1}=gn(g^{-1}Lg)n^{-1}g^{-1}\\ =gnHn^{-1}g^{-1} =gHg^{-1} =L]$$これにより、$gNg^{-1}\subset{M}$で、同様に逆の包含関係も言えるから、
$$gNg^{-1}={M}$$
$\underline{Prop2.}$ $H<G$に対して、$N:=N_{G}(H)$とすると、
proof.
$g\in{G}$に対して、$L=gHg^{-1}$とすると、
$$gN=\{x\in{G};xHx^{-1}=L\}$$は$G$を$N$で割った剰余類$G/N$を考えればわかる。
ここでLem1より、$M:=N_{G}(L)=gNg^{-1}$で、$H$と$L$の場合と$N$と$M$の場合とで共役するものが同じだから、
である。特に
$$N=\{x\in{G};xNx^{-1}=N\}=N_{G}(N)$$あとがき
長い文章は読む側も疲れると思うので、個人的に面白いなと思ったことを紹介したくてわざわざこれを書きました。参考文献はありません。