2022/11/04 11:19 更新
数学ゴール夕卜伝 IMO 1959/1.
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目次

前提知識

・・・はもちろんあった方が良いけれども,それを先に書いてしまうとヒントどころか解答になってしまうので,控えます.

問題

どの正の整数 $n$ に対しても $\frac{36n+7}{27n+5}$ は既約分数になることを示せ.

元ネタ

国際数学オリンピック第 1 回 (1959 年) の第 1 問の数字をもじったものである.

解答

解法は一通りではないが,私が自分で思いついたものだけ紹介する. $a=36n+7$,$b=27n+5$ とおく.これらの(正の)公約数を $d$ とおくと,任意の整数 $k$,$m$ に対し,$ka+mb$ の約数でもある.ここで $k=3$,$m=-4$ と取ると $$3a-4b=3(36n+7)-4(27n+5)=1$$

となり,$d$ は $1$ の約数でなければならない.したがって $d=1$ であって,$a=36n+7$ と $b=27n+5$ とは互いに素であり,分数 $\frac{36n+7}{27n+5}$ は既約分数であることが示された.$\blacksquare$

コメント:ここで用いた整数の重要な性質,つまり $a$ と $b$ の公約数は $ka+mb$ の約数である,という性質は使いこなせると非常に強力なツールであるから,ことあるごとに使うように心がけると良いように思う.それは私自身の経験に基づく率直な実感である.