2022/03/18 17:01 更新
クイズ A-1
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問題

問題 A1

$f:\mathbb Q \to \mathbb Q$で次を満たすものを求めよ.

$$f(x)+f(y)+f(z)+f(x+y+z) = f(x+y)+f(y+z)+f(z+x).$$

         

$$  $$





$f(x)=cx$とかは明らかに満たすけど...解答は以下.







$$    $$

 

   

解答

まず簡単にわかること. $x=y=z=0$を代入すれば$4f(0)=3f(0)$なので$f(0)=0$. また$f$を奇関数と偶関数に分解すると:

$$ f_1(x) = \frac{f(x)-f(-x)}{2}, \ f_2(x)=\frac{f(x)+f(-x)}{2},$$

これら$f_1, f_2$も元の関数方程式を満たすことが確かめられる. なので本質的には奇関数と偶関数の場合に求めてそれらの線型結合が答えになる.

 もう少し細かく見る. 与式は次と同じ.

$$ f(x+y+z)-f(x+y)-f(z) = (f(x+z)-f(x)-f(z)) + (f(y+z)-f(y)-f(z))$$

つまり$z$をfixして関数$g_z(x)=f(x+z)-f(x)-f(z)$を考えると

$$g_z(x+y) = g_z(x)+g_z(y)$$

これはコーシー型関数方程式なので有理数範囲ではある$z$に依存する定数$c(z)$が存在して

$$g_z(x) = c(z) x.$$

よって$f(x+z)-f(x)-f(z)=c(z) x$. この左辺は$x$と$z$を入れ替えても変わらないので

$$c(z)x = c(x)z.$$

ゆえに, $c(1)=a$とおけば, 任意の$x$に対して

$$c(x) = c(x)\cdot 1 = c(1) x = ax$$

であるので

$$f(x+z) = f(x)+f(z)+axz$$

を考えれば十分. とくに$z=-x$を代入して$f(0)=0$も合わせれば,

$$f(x)+f(-x)=-ax^2.$$

ある$f$が解のとき, 上で定義した$f_1,f_2$も元の関数方程式を満たしていたので全く同じ議論ができて

$$\begin{aligned} f_1(x)+f_1(-x)&=-a_1 x^2, \\ f_2(x)+f_2(-x)&=-a_2 x^2. \end{aligned}$$

$f_1, f_2$の定義から

$$\begin{aligned} 0&=-a_1 x^2 \ (^\forall x), \\ 2f_2(x)&=-a_2 x^2. \end{aligned}$$

ゆえに, $f_2$は確定して, ある定数$p$について$f_2(x)=px^2$. $f_1$はまだわからないが$a_1=0$がわかるので, (途中の議論で$a=0$の場合に相当するので)$f_1$の関数方程式

$$f_1(x+z) = f_1(x)+f_1(z)$$

がわかり, これはやはりコーシー型なのである定数$q$が存在して$f_1(x)=qx$. $f_1, f_2$は$f$の分解だったので

$$f(x) = f_1(x)+f_2(x)=px^2+qx.$$

実際これは元の関数方程式の解になっている.

補足

解集合は線形結合で閉じていてその基底が$x$と$x^2$という感じ. この二つが同時に解になるのは結構珍しい気がします. 例えば$(x,y,z)=(13, 21, 30)$を代入すると次の等式が成り立つことになりますけど初見だとすげーってなりがち. 文字式とか恒等式とか習いたての中1とかに手品みたいに見せると少しウケる.

$$\begin{aligned} 13^2+21^2+30^2+64^2 &=34^2+43^2+51^2\\ 13+21+30+64 &=34+43+51\\ \end{aligned}$$